ひとつの出会いが
「夕張メロン」誕生のきっかけに
山々に囲まれた夕張は、標高も高く寒暖の差が大きいうえに樽前系の火山灰に覆われているため、一般的な農業には向かない土地柄で、かつては雑穀や豆類、アスパラ、長いもなどの野菜が細々と作られているだけでした。
夕張農業の衰退を危惧して、農家や農協、農業技術者などが打開策を考えているさなか昭和32(1957)年のことです。夕張市の農業改良普及員が、農家が自宅用に細々と作っていた「スパイシー・カンタロープ」というメロンとの出会が「夕張メロン」誕生に向けての第一歩となるのです。
「スパイシー・カンタロープ」の見た目は、メロンというよりはウリ。甘みもなく当時は青い果肉が主流だったのに対して、こちらは赤肉。
しかし農業改良普及員は、ほかのメロンに負けないほどの芳醇な香りを持つ「スパイシー・カンタロープ」に可能性を感じました。
「スパイシー・カンタロープ」の見た目は、メロンというよりはウリ。甘みもなく当時は青い果肉が主流だったのに対して、こちらは赤肉。
しかし農業改良普及員は、ほかのメロンに負けないほどの芳醇な香りを持つ「スパイシー・カンタロープ」に可能性を感じました。
夕張の新しい特産品の開発に向けて、関係者の努力が始まりました。
重要な交配用メロンの選定、その原種探し・・・
様々な試行錯誤の結果、昭和35(1960)年、抜群の甘さがある「アールス・フェボリット」との交配に成功。
努力が見事に実を結び、ネットの張りが良い高級感のある赤肉で芳醇な香りと、とろけるような甘みの新しいメロン「夕張メロン」(品種名「夕張キング」)が誕生したのです。
その美味しさは、予想をはるかに超えるものでした。