生活のコラム

【北海道で会えたらラッキー!】どこで会える?北海道で出会える動物特集 夏編

2023.6.7

北海道は「都道府県の魅力ランキング」において2022年までの14年間、連続1位を守り抜いている都道府県の中でも魅力がたくさん詰まった場所。
そんな誰もが一度は訪れたいと思う北海道、実は土地面積の70%が森林。日本の所有する森林の25%は北海道にあるのです。
そしてその自然のなかで数多くの生き物が生息しています。
今回は、厳しい北海道の自然環境のなかで強く生きる様々な動物たちをピックアップ!
市街地などでも出会うことが出来る動物からなかなか出会えないレアな動物まで、夏編4選ご紹介いたします。

目次
●北海道にしかいない動物が多い理由。「ブラキストン線」とは。
●小さくてキュートな「エゾシマリス」
●本州の鹿より力強く迫力満点な「エゾシカ」
●丸い顔と大きな瞳、白い森の哲学者「エゾフクロウ」
●夏はスタイル抜群、初夏は仔ギツネに会えるかも!「キタキツネ」
●北海道の動物に会ったら

●北海道にしかいない動物が多い理由。「ブラキストン線」とは。
北海道と本州の境界である、津軽海峡で動物の分布が大きく変わることをご存じでしょうか。
ある境界から生物の生態が大きく変わることを分布境界線といい、青森県と北海道の間の津軽海峡をイギリスの動物学者トーマス・ブレーキストンの名前からブラキストン線(ライン)と呼ばれるようになったのです。
ブラキストン線を北限とする種は、ツキノワグマ、ニホンザル、ムササビ、ニホンリス、ニホンカモシカ、ヤマドリ、アオゲラなどがあります。
ブラキストン線を南限とする種は、ヒグマ、エゾモモンガ、エゾヤチネズミ、エゾシマリス、ギンザンマシコ、クロテン、ナキウサギなどです。
ここまでブラキストン線のお話をしましたが、ではどうして境界線を境に固有の生き物が多いのか。
それは環境要因のほか、約1万年以上大陸との陸橋が無く、動物の行き来が妨げられたからなのだそう。
こういったことが起きたがゆえに、他では見られない特別な生態系を築き、人々の魅了させる大地になったのです。

●小さくてキュートな「エゾシマリス」
北海道は大部分が森林になっていて、自然の中で暮らしている動物がたくさんいるとお話しましたが、森林限界を超えた高山でもたくましく生きる小さな動物もいます。
やや体つきが大きな種が多く生息している北海道ですが、エゾシマリスはとても小さいです。
エゾシマリスには日本に生息しているリスの中で最も地上にいる時間が長いという特徴があります。
そのため、危険をいち早く察知するために2本足で立っていることが多いようです。
そして、エゾシマリスは冬眠を行います。平均気温が0℃以下になると地上からエゾシマリスの姿は消え、冬眠前に自分でトンネルを掘り、木の実を集めて地面に埋め、お手製のベッドをこしらえ準備をするのだとか。
1年の半分を冬眠して過ごしているエゾシマリスは、春の終わりから秋のはじめの間だけ出会える、見つけたらラッキーな小さなアイドルなのです。

●本州の鹿より力強く迫力満点な「エゾシカ」
北海道の鹿はニホンジカの亜種ですが、ブラキストン線より南側に生息する7種のどの日本で暮らす鹿より体格が良く、初めてみた人にとっては少し怖く感じてしまうかもしれません。
どのくらいの体格差かというと、なんと体重が約2倍も違うのです。筋肉量も約2~3倍もの差があります。それに比例し角の大きさもエゾシカの方が大きく長く成長します。北海道の過酷な自然環境のなかで生き残る為強くたくましく進化したのです。
エゾシカは、元々は雪の少ない日高地方や十勝地方などに限定されており明治頃に一度絶滅を危ぶまれていましたが、狩猟のルールの整備や生息域の拡大を理由に数をどんどん増やし北海道全域で確認されるようになりました。
そんなエゾシカは、野生鳥獣肉として「ジビエ」という料理で楽しむこともできます。
北海道では昔から食べられており、エゾシカの赤身は健康的でクセのない上品でジューシーな味わいなのだとか。
筆者は北海道中南部に位置する苫小牧でお食事中の群れを目撃し、初めてエゾシカを間近で見ることが出来ましたが、群れに出会ったのは小学校のグラウンド横、一部の地域ではありますが住宅地でも大きな体のエゾシカに出会えてしまうことに驚きました。

●丸い顔と大きな瞳、白い森の哲学者
日本にはフクロウの4種の亜種が生息していますが、その1種。
北に行くほど白く、南に行くほど濃い褐色になります。北海道にのみ生息する地域亜種であるエゾフクロウはアイヌ民族には神聖な存在として敬われ、クンネレクカムイ(夜鳴く神)、イソサンケカムイ(獲物を出す神)と呼ばれていました。
白い身体にハート型に縁どられたような顔、正面についている大きな瞳が印象的です。
ですが、今まで紹介したエゾシマリスやエゾシカのように体格差があるわけではなく、他3種の亜種と大きな違いはありません。
札幌近辺だと公園や山の中でも出会える可能性があります。
フクロウは遠くを見るのが得意なので、暗い中でも遠くの獲物の様子がよく見えます。
逆に近くを見ることがあまり得意ではないので、狩りをするときには遠くから獲物を見張り、勢いをつけて音もたてずに一気に急降下し飛びつくのです。
年中見つけることが出来るので、北海道の森でハイキングした際には是非辺りを見回してみてください。
もしかしたらエゾフクロウがどこからか見ているかもしれません。

●夏はスタイル抜群、初夏は仔ギツネに会えるかも!「キタキツネ」
野良猫より野良ぎつね!?と思うほど街中でも目撃する機会が多いキタキツネ。
本州出身の筆者は、北海道に移住して初めて野生のキツネをみました。北海道では本州でいう野良猫ぐらい一般的な生き物のようです。
キタキツネはアカギツネの亜種。日本では北海道・樺太に生息していると言われていましたが、最近では青森県でも多くの目撃情報があるのだとか。青函トンネルに侵入し、そのまま青森県にたどり着いてしまい繁殖していっているということが考えられます。
キタキツネと本州・四国・九州で暮らしているホンドギツネの違いは、体格がキタキツネの方が一回り大きいことと、四肢の足首の部分が黒くなっているということです。
そして鳴き声は犬の叫び声のように「ワン!」と鳴くので、夜に鳴くと結構響きます。
余談ですが、ホンドギツネは現在キタキツネ同様にアカギツネ種で登録されていますが、実際に頭骨の違いや身体的に大きな違いがあることからアカギツネではなく新種なのではないかと言われているようです。
暖かくなる4~6月に子供を産み、秋頃の子別れの時まで夫婦そろってせっせと子育てを行う為、巣穴を確認できれば見られるかもしれません。そして夏毛のキタキツネはキリリとした表情が更に際立ち、細い足とすらっと引き締まった胴体が露わになり、動物界のモデルさんと言わんばかりにスタイル抜群なのです。

●北海道の動物に会ったら
今回紹介した生き物の他にもたくさんの動物たちが北海道の街や森の中など人々のすぐそばで暮らしています。
ですが、基本的に出会えたとしても捕獲やふれあいはできません。
驚いて攻撃してくることもあるほか、野生動物特有の病気やウイルスに感染してしまう恐れもあります。逆も然りです。
そして、餌を与えることは絶対にいけません。人が食べ物を与えないようにしている状態で生態系が成り立っている為、人の食べ物の味を覚えて人里に入ってくることによって、交通事故に遭って命を落としてしまったり、生態系に大きな影響を与えてしまいます。
もし道端で弱っているように見えても、助けたい気持ちをぐっと抑え一生懸命生きている姿を遠くから静かに見守るだけにとどめておきましょう。そうすることがその子にとっての最善なのです。
このほか、ドライブ中のエゾシカやキタキツネの飛び出しや、事故に遭った動物をついばむワシなどの巻き込み事故なども頻繁に起こっているので、北海道に観光に来た際は注意が必要です。

北海道は自然の宝庫。そのなかでたくさん動物たちが力強く生きています。
人々が積極的に大切にし、守っていくことがとても重要です。